サルスたちと合流すればいいのか、しかしそれだと御劔の出来事に巻き込むことになる。

カルサがそれを好まないことを知っていた兵士なだけに判断に迷ってしまった。

しかしおそらく今は必死にカルサが稼いでいる時間、リュナの様子はまだ変わらず怯えたままだ。

「リュナさん、しっかりして下さい!」

兵士は以前魔物退治に出陣した際のリュナを知っている。

カルサと背中を合わせ果敢に立ち向かっていた凛々しい姿のリュナを見ているのだ。

そんな彼女はどこから見ても戦士と言えるものだった、でも今は全く逆の姿になっている。

とにかく彼女を外に連れ出そうと兵士は入り口の方に向かった。

剣を受けながらもカルサの意識は常に分散し、兵士の動きの意味に気付いた。

この玉座の間にいる人間の位置、なによりリュナのいる位置を気にしながら態勢を変えていく。

「そんなに気になるか?」

背筋が凍るような声。

ヴィアルアイのやけに静かな言葉にカルサは騒めいた。

リュナを守る為にわざと遠ざけるように移動していること、それが全て見抜かれていたのだ。