強い眼差しのリュナにカルサは頷いて答える。

「だが、その前に行くところがある。」

「行くところ、ですか?」

「ナルのところだ。」

カルサの言葉にリュナは瞬きを繰り返した。

シードゥルサ国の占者ナル・ドゥイル。

多くの者から信頼、支持を受け、確かな力を持つ城付きの占い師だった。

今のカルサの口ぶりからすると、リュナは今からナルのところへ行くということになる。

一体何故、その思いが顔に出ていたのだろう。

カルサは話を続けた。

「ちょっと用があってな。風神として同行してもらいたい。ナルとは初対面か?」

「いえ、以前に一度お会いしたことがあります。」

紅に連れられ、ナルの部屋に行ったことがあった。

あの時は楽な気持ちで行けたが、今回はそうではなさそうだ。

「そうか。今から行けるか?」

「はい、勿論。」

カルサは頷くと視線を扉の方へ向けて外へ促した。