恐怖感が高まり次第に臆病になっていくのが分かる。

こんな時に来る理由、それはこんな時を狙ったからだろう。

城内が手薄や混乱にありって隙があるこの時を待ち構えていたのだ。

敵の狙いはおそらくカルサ、雷神であれ国王であれ間違いなく彼であろう。

金品強奪も有り得るが、この嵐の中となればカルサの命を狙う方が可能性が高い。

仕方がないことではあるかもしれない、だがこの瞬間は特に心底自分の存在を呪いたくなる。

国王であることに加え、神の遣いである御劔の雷神。

自分が名乗らずとも、その力を見せつけたことはなくとも、神話や想像がカルサ・・トルナスという人物を造り上げていく。

強い雷神、絶対的な国王、その存在だけで守られている安心感を与えるカルサ・トルナス。

故にその首にはどれ程の価値があるかは想像もつかない。

自分さえいなければこんな事にはならないのに、何度そんな思いをしたか知らなかった。

「陛下、結界を張りましょう。」

リュナは立ち上がりカルサに提案した。

その姿勢はすでに覚悟を決めたものだ。