カルサの立場は国の統率者であり、象徴でもある。

一度に二つのシンボルを失うのは国にとって辛いことは目に見えていた。

「俺には王というだけで兵が自然とついている。言うなれば城内の兵士全員がそうなるか。」

「しかしだな…。」

「現に呼べばすぐ来るだろう?」

カルサの言う事ももっともだった。

今ここで声を上げれば兵士はすぐに駆け付ける。

非常事態とはいえ、カルサの周りには数人の兵士はついていた。

「とにかく二人とも、周りを心配や不安にさせるような発言は慎んでくれ。」

「申し訳ありません。」

リュナは謝りカルサは何も言わなかった。

サルスは小さくため息を吐いて貴未に視線を移す。

「貴未、すぐに聖のところに行って役割変更の報告をしてこい。」

「え?」

「たった今城に戻ったという報告があった。すぐに出るらしいから急いだ方がいい。」

成程と貴未は口を開けて何回か頷く。