それは勿論、彼女も例外ではなかった。

扉の前で頭を下げたまま動かない彼女にカルサは声をかける。

「リュナはいるか?」

そのまま素通りするかと思いきや声をかけられたことに驚いてレプリカは思わず肩を揺らしてしまった。

「はい、中に。」

動揺から少し声が震えてしまったかもしれない。

失礼がなかったかと案じるレプリカとは別に、カルサは無言のままリュナの訓練場となった部屋の扉を開けた。

微かに漂うカルサの香りが扉の向こうに消えたとき、レプリカは緊張から解き放たれたように大きく息を吐いてしまった。

「陛下!」

「調子はどうだ?」

ちょうど一つの風玉を造り終えたところで、リュナの周りにはまだ風が出来ていた。

ふわふわ揺れる髪と服、しかし心はもっとふわふわしているのだろう。

カルサの姿を見るなり頬を赤らめ目をキラキラと輝かせた。

心同様に声も踊らないよう、一呼吸おいて口を開く。

「はい。一応いくつかは出来上がっていますが、使えるかどうかは…。」

そう言って窓辺に置いた籠に目を向ける。