「ハワード様、サルスパペルト様がお探しです。」

突然の呼び出しにハワードの顔はより厳しいものへと変わってしまった。

その瞬間を何人かの民は目撃する、肩を叩かれた男ももちろん例外ではなかった。

「すぐに向かう。」

ハワードは一度男に笑みを見せると再び厳しい顔をして両手を合わせ大きな音をたてた。

「騒ぎはここまで。持ち場に戻りなさい！」

ハワードのかけ声に女官たちは頭を下げて自分たちの仕事に戻る。

それらを視線で追い、ある一点で止めて目を細めた。

「自分の役割をちゃんと果たすように。」

ハワードの声が、入口付近で立つカルサにまっすぐ届く。

睨み付けるような視線にカルサは口角を上げて瞬きすることで答えた。

そしてナータックの方に視線をやると、何も言わずその場から立ち去る。

「お見事ですね、ハワード大臣。」

楽しそうな囁くナータックにカルサも笑って答えた。

「仕事をしないと怒られるぞ？」

「はい。」