何となく気になって紐を引いて服の中に隠された部分を外へ出してみる。

「皇子?」

訝しげに呼ぶ瑛琳の声も耳に届かなかった。

深く鮮やかな蒼色の石、なんとなく記憶の端に見え隠れするそれはリュナの物ではないことは確かだった。

深い蒼の首飾り、その言葉を口にした瞬間記憶が鮮明に思い出される。

「ジンロの首飾り…まじないがかけてある。」

守護のまじない。

石に触れた指先から伝わってくる微妙な波動にそのまじないの存在を確認することが出来た。

しかし先程で使い果たしたのだろうか効力が弱まっている。

リュナはこの力を借りてようやく今の状態にあるのだ、そう考えると何とも言えない感情が湧き出てきた。

目を閉じれば感じられる。

城内に少しずつ人の気配が増えていくのが伝わってくるのだ。

避難民を受け入れる態勢は整っている、ここは老大臣とサルスに任せればいい。

それ以外にも報告は次々と入ってくるだろう、一任したとはいえ判断は国王であるカルサがしていかなければいけないのだ。

いつまでもここにいる訳にはいかないのは分かっていた。