何とかしてカルサに伝えたかったのだろう、押し込まれている意識の中から抜け出して報告してくれたのだ。

その健気さにカルサの表情は冴えない。

「無茶なことをしますね、お姫様は。優しくて責任感が強い…それが故の無茶はいつか彼女の身を滅ぼしますよ?」

「同感ですね。」

衰弱しきった身体をベッドに寝かせている彼女に意識はない、深い眠りについたリュナには彼らの言葉も聞こえていなかった。

「そう言うな。千羅、瑛琳。」

しかしそうは言っても実際今回のような無茶をまたするようであれば全力で止めなくてはいけない。

未発達の彼女の力では全身全霊の力の放出は命を落としかねない。

ましてや完璧ではない風玉も発動させたとなるとどれだけの負担がかかったのか、よく無事でいられたものだ。

その思いは分からなくもない。

「こいつなりに民を守ろうとしてくれたんだな。風神として。」

何とも言えない感情からカルサはリュナの手を握る。

その気持ちには覚えがあるのだ、そう考えるだけでより一層思いは強くなる。

リュナの顔を見つめていると、ふとカルサは彼女の首元にかけられた首飾りに目が留まった。