「きっかけ?」

「調和が狂わされたのかもしれません。」

それはつまり空間が歪んだからだということなのか、カルサは頭の中で忙しく可能性を出し始めた。

何かが起こっている、大気を揺るがすほどの何かが起こっている。

結果この嵐を巻き起こす何かがこの国で起こっているのだ。

「まさか。」

一つの可能性を考えると恐怖から悪寒がした。

もしそうだとしたら、それを考えるだけで鼓動が速くなり冷汗が出てくる。

「リュナ、ラファルを傍に付ける。とりあえず休んで身体を元に戻せ。」

「…はい。」

かろうじて話は出来るが、目を開けてからの彼女は少しも身体を動かそうとはしていない。

動けないくらいに消耗しているのだろう。

「ありがとう、これで兵たちの仕事も捗る筈だ。さすがは風神様だな。」

予想外のカルサの言葉にリュナは目を大きくした。

やがて笑みを浮かべ恥ずかしそうに頬を染めて小さく頷く。

「ありがとうございます。」

カルサの頷きを見るとリュナは再び目を閉じて眠りの中に入っていった。