扉の閉まる音がやけに大きく響く。

誰もいなくなった会議室に雨の音が包むように流れてきた。

カルサの表情が厳しい。

「千羅、瑛琳。」

その名を口にした瞬間、彼らの姿が現れた。

いつもと同じように片膝をつき、忠誠心を見せるかのように跪く。

二人の身体が濡れているのが分かった。

カルサは傍にあったタオルを二人に投げて渡してすまないと謝る。

「使ってくれ。」

この為に用意をしていたのだろうか。

意外な対応に目を丸くするも、瑛琳は微笑んでいいえと首を横に振った。

「有り難く使わせて頂きます。」

嫌味たらしく千羅が放ってもカルサは頷いて流すだけだった。

これは御劔とは関係ないシードゥルサの話、それはつまり千羅と瑛琳にも関係のない話だ。

彼らが雨に濡れてまでやる仕事ではないのに働いてくれている。

ただ申し訳なくて、カルサはその気持ちでいっぱいだった。