「聞いてもいいか?」

「内容によるな。」

カルサの真剣な眼差しに聖も同じ眼差しで答えた。

ほんの少し冗談を混ぜながら返した言葉にカルサは眉を上げてため息を吐く。

聖らしいと諦めたのかどうなのか、本人にも分からなかった。

「ヒの国には…聖や紅のような力を持つ者は多く存在しているのか?」

想像していた問いではなかったのか、聖は目を大きくすると何かを考えるように視線を宙に投げた。

言葉を選んでいるのだろうか。

小さな唸り声をあげると首に手を当てさすりながら答えた。

「ここと同じようなもんちゃうか。珍しい訳やないけど、信じとるっちゅう者は少ない。力があったとして…隠しといた方が便利やな。当たり前な訳やない。」

視線は窓の外に、でも振り続ける雨を見ている訳ではないようだ。

その向こうの、古い記憶の中を歩いているように見える。

いい思い出ではないのだろう、そう思わせるような様子にカルサは声を出せなくなった。

「異端扱いか、崇拝されるか、重宝されるか。あんまええ気はせんな。」

ため息交じりに呟かれた言葉に尋ねたことが悔やまれる。