結界士と同じ国にその人はいる、今のカルサが持つ情報はこれくらいしかない。

「聖、お前達はどこから来たんだった?」

唐突にカルサは口にしてしまった。

話の流れ的には違和感はないが、自分自身で違和感から首を傾げそうになる。

そんなカルサの気持ちとは別に聖は特に気にする事無く口を開いた。

「ヒの国。言うねや。」

「ヒの国…。」

カルサが復唱したことに微笑み、そうや、と聖は頷く。

まるで身体の中に溶けこますように繰り返した名前はカルサの中で妙な懐かしさを感じた。

どこかで聞いたことあるのか、以前聖から聞いたものを頭の隅で覚えているのか。

何にせよ、そこに火の神はいる。

まだ目覚めてはいない最後の力がそこに居る筈だ。

「あそこも災害が多いとこやった。…自業自得な部分も多いけどな。」

そう言うと聖は懐かしい思いを抱きながら外を眺めた。

きっと遠い昔に離れた故郷のことを思い出しているのだろう、自ら帰ることを拒んだその場所に思いを馳せているのだ。