リュナの反応に満足した貴未は嬉しそうに笑ってまた吸い込むように食事を楽しむ。

最初は勢い良かったが周りも少しづつ各々の調子に戻して楽しんでいるようだった。

「こうやって会話するの初めてですよー。」

気持ちよく酒に酔った隊員がリュナに話しかけてくる。

風神という称号が同じ隊員でも近寄りにくい空気を出してしまっているようで、一人が話せたのをきっかけに次々とリュナを目指して隊員が押し寄せてきた。

「近い！長い！うっとおしい！」

紅に守られながらもリュナは隊員との触れ合いをし、宴会は長時間に渡って賑やかに続いた。

こんなに長くなるなんて思ってもみなかったリュナは昼間に酒場に入った理由がよく分かった。

一応の門限がある寮には帰らなくてはいけないのだ。

「ご馳走さんでしたー！」

肩を組んで楽しそうに店主に手を振りながら歩き始める。

「なんや雲行きが怪しいな。」

店を出た聖がぽつりと呟いた。

空が暗いのは夜だからではない、星も月も見えない暗さは雲の多さを物語っていた。