そんなリュナにもう一度笑いかけると紅はカップを掲げて立ち上がり声を張り上げた。

「これからこれからー!飲むで食うでー!」

「おー!!」

まるで音頭のような紅の叫びに周りはカップを掲げて雄たけびを上げた。

野太い声に囲まれたリュナは肩を跳ねて身を縮める。

訓練中でもよく聞く声だが、まさか酒場という閉鎖された空間でこの大音量を聞くとは思うまい。

「リュナ、これうちの普通だから。」

食べ物を吸い込みながら貴未がフォークでリュナを指す。

横にいた聖も口からカップは離さずに頷くことで会話に参加していた。

「そう…みたいね。」

なんとか出せた言葉にかぶせてリュナの目の前に大盛りの皿が降ってきた。

正しくは、置かれた。

「ここのんは美味いからな!食べな損すんで?食うて飲んでうちらの仲間入りやー!」

「いらっしゃーい!」

紅の叫びに再びカップが掲げられて一斉に声をあげる。

つまり開放的になって騒ぎたいだけのようだ。