周りは見慣れているのだろう、気にも止めずに思い思いに楽しんでいる。

大量消費に負けじと山盛りの皿やなみなみに注がれた酒が運ばれてきた。

空っぽの食器と山盛りの食器が次々に交換されていく。

周りを見ても貴未と聖が特別速いというだけで、同じような食いつきっぷりが広がっていた。

食う、飲む、笑う、食う、飲む、そして笑って注文、その繰り返しが続くようだ。

「なんや飲んでへんやないの。」

完全に圧倒されたままのリュナの肩に紅の体重がかかった。

「紅。」

彼女の指摘した通り、リュナのカップはまだ少ししか減っていなかった。

おそらく乾杯の時に口を付けて以降まったく進んでいないのだ。

「ちょっと…圧倒されちゃって。」

正直に答えたリュナに紅はにっこりとほほ笑んで彼女のカップに自分のカップを押し当てた。

そしてリュナの耳元に近づいて呟く。

「こんなんまだ序の口やで。」

「…そうよね。」

信じられないけどそうなのだろうと諦めた苦笑いで紅に頷く。