遠く離れつつある宮殿をカルサは見つめた。

かつて自分達が暮らしていた場所、そこに全てがある。

リュナは今聞かされた真実を受け入れることに必死だった。

衝撃が大きすぎる。

しかし今までのカルサの様子から、納得できるものもあった。

王と目を合わせようともしない。

ふいに見せる冷たい表情と懐かしむ表情。

彼はどんな気持ちで過ごしてきたのだろう。

この場所に来る意味をリュナは深く思い知った。

そして今からはそれを共に受け入れて感じていくのだ。

一歩踏み出す。

何も言わずカルサに近付き抱きしめた。

彼の鼓動が伝わってくる。

足元にはラファルが身体を寄せてきた。

安心できる空間。

幸せだと言えた空気が常に傍にあることをずっと知っていて欲しい、感じていて欲しい。

それを与え続けるのが自分の大きな役割だとリュナは決意した。