というか、何故それを国王陛下が知っているのか。

「陛下…。」

「なかなかの美人らしいな。のんびり構えていると持ってかれるぞ?」

まるでオモチャを見付けた子供のように楽しそうな笑みを浮かべると、カルサは積み上げられた書類に手をかけた。

手は休まず動き、山のように積み上げられた書類を淡々と裁いていく。

それに対してナータックは完全に凍結していた。

「サルス同様、人のことばかりじゃなく、まず自分の身辺整理をすることだな。」

刺々しい言い方には理由がある。

つまりは、秘書官と一緒になって妃を迎えろと口煩く言うなと言いたいのだ。

人のことを言える立場かと睨みを利かせている。

なんせ二人ともがまだ独り身なのだから仕方がない。

しかしナータックに言わせてみれば、サルスの命に逆らえず嫌々に従っていただけで。

「陛下にはお立場がありますから。」

消えそうな声でそう言うしかなかった。