「ええ…。」

リュナの答えを聞くとカルサは屈んで傍にある草を手に取った。

そして辺りを見回す。

その目に映るのはのどかな風景だ。

「覚えている…草の匂い、風の柔らかさ、水の冷たさも。」

消えそうな声でそう呟いた。

誰に言うつもりはない、自分への会話。

しかしリュナにもラファルにもその声は届いていた。

「リュナ。あまり知られてはいないが、この総本山にはちゃんと名前があるんだ。」

「本当?そういえば総本山っておかしいものね。ここっていつからあるのかしら?」

リュナの疑問にカルサは微笑んだ。

確かに太古の国の神官の末裔が御劔なら、その総本山はいつ出来たのか。

そして誰が作ったのか。

よくよく考えれば不思議なことばかりなのかもしれない。

「答えは簡単だ。」

カルサはリュナの前に立った。

リュナはまっすぐカルサを見つめている。