「来たか。」

リュナの支度をカルサは廊下で待っていたようだ。

「カルサ！」

待っていてくれていたとは知らず名残惜しさから少し長居してしまった。

焦りと申し訳なさでリュナは一気に顔を赤くして頭を下げる。

「ごめんなさい！遅くなってしまって。」

言い分けはしない、ただ素直に謝るリュナの姿勢にカルサの顔は思わずほころんだ。

「気にするな、俺が勝手に待ってたんだ。リュナ、紹介しよう。ラファルだ。」

そう言うとカルサは足元にいたラファルを促した。

「あ…。」

その姿に見覚えがある。

昨日からカルサの部屋にいた獣だった。

気になっていたものの、そこまで話がいかずに流れていたものだ。

大きな身体、綺麗な毛並み、曇りのない美しい瞳、光の中で見るラファルの姿にリュナは無意識に感嘆の声を上げていた。

そこでふと気が付いた。

「カルサ…ラファルって？」

カルサは屈み、ラファルの身体を撫でてみせる。