荷物をまとめて与えられた自分の部屋を片付ける。

少ししかない私物は短時間で荷造りが終わり、リュナは改めて部屋を見渡した。

予め部屋に用意されていた服、小物、飾られていた花、どれも急遽手配されたにしては豪華なものだった。

シードゥルサで王族が使う部屋に移ってからこれと似たような生活をしているが、やはり贅沢だ。

裏で世話を焼いてくれた人たちへの感謝と思い、短いお礼の文章を机の上に残した。

自己満足だが、そうしたかったのだ。

またきっとここへ来る。

いつかここが帰る場所なのだ、そう思うとまたこの部屋が違って見えた。

来たときの服に着替えて気持ちを切り替える。

ここからはもう、御劔の風神としてまた国の守り神にならなくてはいけないのだ。

そしてカルサは雷神から国王へと戻る。

「…よし。」

気持ちに区切りを付け、リュナは荷物をもって部屋を後にした。

扉を開けた目の前には腕を組んで壁にもたれたカルサがリュナを迎える。