そして、だいたいの事は聞いても後は小出しになるから気長に頼むと、千羅は申し訳なさそうに続けた。

彼もまたジンロと同様にカルサをとても大切に思っている。

リュナは千羅を見つめて思った。

「…なぜ、そんなにカルサを大切に思っているんですか？」

思っている事がつい口にでてしまった。

ジンロなら分かる。

彼はカルサと共に同じ時を生きていたのだから、しかし千羅は違う。

彼がここまでカルサを思う心はどこからきているのか、リュナには分からなかった。

「それは秘密だ。」

千羅は微笑んだ。

いたずらを仕掛ける子供みたく楽しそうに笑う彼にリュナは面をくらってしまった。

これは本当に教えてくれなさそうだ。

言葉を失っているリュナを残して千羅はするりと去っていった。

いつか話を聞くことがあるのだろうか、そんなことをぼんやり思う。

彼らの周りには複雑な思いが重なり合っている。

それは太古から続くものだから仕方がなかった。

色々と見定める為に来た御劔の総本山。

シードゥルサに帰ると、そうカルサから言われたのは部屋に戻った時だった。