「便りが無いのは元気な証拠と言いますか。いい報せだけが連絡ではないですから、だからそう思うようにしています。」

ナータックはそう言って微笑むと視線をカルサから窓の向こうに見える空へと移した。

開けたままの窓は実に開放的だ。

「きっと向こうもそうでしょう。」

そう呟いた表情は穏やかなものだった。

そんなものだ、そう言っているような気がする。

きっと同じ空の下にある遠い故郷に思いを馳せているのだろう。

「だったらいい報せくらいしてやれ。お前、自分の家族は作らないのか?」

カルサにしてはかなり珍しい言葉が出てきたものだ。

すぐに自分に返ってくる話題なだけに自ら口にすることはない。

「生憎そんな予定は…。」

「噂の治療士とはどうなった?」

言葉を遮ったカルサの爆弾発言にナータックは思わず机に頭を打ち付けた。

ゴン、といい音が鳴る。

ナータックといい雰囲気だと噂されている人物の登場に身体は素直に反応したようだ。