「例え風神でなくとも…君はカルサにとって必要な存在だ。不安になる事があるなら言うといい。解消してやろう。」

そう言うとジンロはウィンクをしてみせた。

その予想外な行動に思わずリュナは笑顔になる。

「はい。ありがとうございます。」

手の中の首飾りを握り、もう一度お礼を言った。

優しい笑みを残して去っていくジンロの背中を見つめて通り過ぎていく風を感じる。

そして部屋で眠るカルサのもとに足を向け、リュナは歩きだした。

昨日よりも目に映るものが深く眩しく見えるのは気のせいではない筈だ。

庭を歩き、水の流れ、風を感じて進む。そこでリュナはふと、あることを思い出した。

それは千羅のこと。

あれからカルサは千羅との関係をリュナに話した。

隠密にカルサをサポートする存在、いつでも傍に居ると明かしてくれた。

そこで思い付いたのだ。

「千羅さん…千羅さん居ますか?」

弱々しく空に話しかけた。

しかし返事はない。