それが昨夜の話を聞いて強くなった。

太古の国に生きた風使いの神官、その人の力の強さを知っているのだとしたら比較されているに違いない。

比べて、そして自分は弱いと思われているのだと。

過去の誰かと自分を比べるだなんて考えもしなかったリュナには不安が過った。

自分の様に特殊な力を持つ者は滅多にいない、だから力の強弱ではなく使いこなせるかどうかということしか考えていなかった。

どう鍛えて強くなればいいのかも、正直に言えば分からないのだ。

「強くなりたい。どんなことをしても強くなりたいんです。」

そう思った。

カルサの話を聞いてからはそれしか考えていなかった。

この手の中にある首飾りがその手段の一つとなるのなら願ってもないことだ。

「ありがとうございます。大切にします。」

それは笑顔よりも決意の顔と言えるだろう。

彼女からは立ち向かう姿勢しか見られない、前しか向いていない。

「リュナ、幸せになれ。お前たちは決して離れるな。」