さっきまで口を開かなかったのに、外に出た途端に話しかけられのはきっと声の反響を気にしたからだろう。

彼の思いを何となく感じ取ったリュナは違和感なく今の空気を受け入れた。

「はい。」

リュナは頷きと共に肯定して答える。

噴水の脇に腰をかけるジンロに、ここで話をするのだと静かに悟った。

柔らかな日射しを浴びるジンロの表情はとても穏やかだ。

「カルサから話は聞いたか?」

その言葉にリュナの心臓が大きく跳ねた。

具体的なことは何も言われていない、だからカルサから何の話をされたかは問われていないのに何故かそれを指すものが分かる。

昨夜のカルサの話にもジンロの名前は何度か出ていた。

彼の立ち位置はカルサにとっては近い、信頼をおけるものだとリュナは感じている。

「ジンロ様は太古の国の神官…古の民なんですね。」

ジンロの切り出しにリュナは乗った。

昨晩カルサが話してくれた事を思い出す。

広がっていく人間関係、彼以外にも何人か知っている名前を聞いた。