すみません、そう言いそうになるのを必死で飲み込んで深呼吸をする。

しまった、すっかり忘れていた。

「ごめんなさい。」

小さくだが、カルサに聞こえるように呟いた。

呆れ顔だが微かに彼は笑っている。

「王と神官、そして委員会。太古の国はこの三つの柱で支えられていた。」

それは少し前、リュナの右手に痣ができた時に聞かされた話と同じだった。

話はもう始まっている、リュナは緩んでいた気持ちを引き締め背筋を伸ばした。

向かい合ってはいるものの、カルサの目はここではない遠くを見つめている。

もうカルサの声以外は何も聞こえない。

ただ彼に集中しようと、リュナは合わなくてもずっとカルサの目を見つめることにした。


そして夜が更けていく。