なんて生ぬるい感情だろうと自分を制した、でも。

「俺は…リュナを離したくない。」

宙に浮いた手でしっかりとリュナを抱きしめた。

あまりの力強さに息を飲んだリュナの身体が動く。

「身勝手だと分かっている。都合が良すぎることも。でも傍に居て欲しいんだ…。風神としてではなく、一人の女性として。」

いつかは淡く消え果てる存在でも生きている実感が欲いと思うようになってしまった。

その感情の震えが身体にも表れてしまったのだろうか。

リュナの中で震えるカルサがいる。

泣いているのだろうか。

リュナは目を閉じて浮かんでいた涙を落とした。

「我が儘は嬉しいと…言ったばかりです。」

リュナの腕がそっとカルサの背中に回されて心地よい力が加わる。

リュナの声をカルサはじっと黙って聞いていた。

「傍にいます。傍にいたいんです。」

リュナはカルサを包むように抱きしめる。

声は震えたが顔は幸せそうに笑っていた、自分を求めてくれた事が嬉しくてたまらなかった。