「俺には未来がない。だから妃もいらないし、自分の子孫なんかもいらない。…人生の伴侶なんて意味がないんだ。」

小さなリュナの泣き声しか聞こえない部屋にカルサの声が響いた。

口にしたその考えは今も昔も変わらない、きっとこの先も変わることはない。

そう思っていた。

カルサは強く拳を握る。

「リュナと言葉を交わす度、好きだと言われる度に気持ちが揺れていくのが分かっていた。生きたいと、未来が欲しいと。」

震えながらも強く主張する声にリュナは静かに顔を上げた。

目の前には葛藤に悶えるカルサがいる。

「でも俺の行き着く先には未来はなくて、あったとしてもそれは暗い終着点だけだ。」

何が起こるか分からない使命、血の匂い以外に何があるだろう。

そして最後に染まるのは自分の血だと分かっている。

「それでも…。」

自分の命は尽きる、もしかしたら彼女の命も果てるかもしれない。

もっとひどい惨事になるかもしれない。

それでも、今感じるぬくもりへの想いは止められなかった。