「リュナ。」

「すみません、すぐ…泣き止みますから。」

止まらない涙に彼女自身も戸惑っているようだ。

おそらく毅然とした態度で、何でもないように振る舞いたかったのだろう。

それが出来なくて悔しい思いもあるらしい。

肩を震わせて懸命に堪えようとする、そんなリュナにカルサを手を差し伸べた。

しかしすぐに躊躇する。

カルサも自分自身と戦っていた。

身体が本能で動こうとする、それを理性で食い止める。

手が、気持ちが、涙が、本能と理性の狭間で揺れる。

勝手に動いた自分の手とリュナを交互に見つめた。

こんなにも自分を想ってくれている人がいる、今まさに自分の目の前にいる。

でも、抱きしめたいけど抱きしめられない。

カルサの腕は宙に浮いたままだった。

言いたい言葉がある、まだ言えていない言葉があるのだ。