「だから…。」

「陛下は嫌がっているじゃないですか!倒したくもない人を倒して何が変わるんですか!?」

カルサの言葉を遮ってまで求めた答えは変化だった。

考え直す変化、違う道を見つける兆しが欲しい。

しかしカルサは厳しい表情を変えず、再び手を伸ばした。

リュナが抱きしめたままの剣の柄を掴む。

「彼を倒しても、何も変わらないかもしれない。」

きっと柄を掴む力は強くないだろう。

しかしリュナは力強さを感じた。

「でもそれでいい。…そうであって欲しいんだ。」

掠れるような低く抑えた声はリュナの心を震わせる。

「世界は何も知らず今までと変わらずに廻っていくだろう。俺が時を越えてまで死にに来ることを意味がないと言うかもしれない。」

声を耳にするだけで心が震える。

カルサの黄金の瞳がリュナを捕らえて離さない、その瞳からは逃げられないのだ。

瞼が熱い、リュナは自分の目が潤んでいくのが分かった。