カルサの胸を叩いた音が耳から離れない。

リュナの頭の中は否定の言葉しか回っていなかった。

だって彼はここにこうして生きているではないか。

人々から愛され、頼りにされ、その存在を後世にまで知らしめる程の人物となっているではないか。

何のために、そこまでの人間を軽んじるようなことをするのかリュナには分からなかった。

それではまるで。

「倒すべき人が…貴方であると聞かされてるみたい。」

冗談ぽく笑おうとしてみたが無理だった。

ただの苦笑いになってしまった顔は受け入れられないと訴えている。

「…遠からずだな。」

リュナの言葉にカルサも苦笑いで答えた。

とりあえず急ぎで結論を伝えてしまった、まず何から話し始めようかとカルサが目を伏せて考えようとした時リュナが思考を止めた。

「私には分からない。」

リュナの言葉に落ちていた視線を上げる。

「倒すべき人って誰?」