執務室に射し込む太陽の光は室内の空気を暖かくする。

こもりそうな空気を入れ換える為に窓を全て開けて光を最大限に取り入れた。

部屋の主がいないこの場所を女官が丁寧に埃を落とし、綺麗に掃除していく。

高価な装飾品に怖がることなく手際のよい作業を黙々と行っていた。

「おや、ご苦労様です。」

「ナータックさん。」

開いていた扉から顔を出したナータックに女官は手を止めた。

「入ってもいいですか？」

体を向き直してお辞儀をする女官に問いかける。

「はい。こちらの作業はもうすぐ終わりますので、どうぞごゆっくりなさって下さい。」

「ありがとう。」

許可を得られたナータックはにっこりと微笑んで執務室に足を踏み入れた。

手にしていた書類を未決済箱に置いて作業を始める。

カルサの机近くに設置された少し小振りな、しかし立派な造りの机はナータック専用とされ、彼はいくつかの書類を手に取ると自席に座った。

女官が掃除する音を聞きながら静かな空間に居心地の良さを感じる。