「二人がなあ…。」

「バレたついでにのろけようか。」

「いらん。」

即答するカルサの表情は既にいつもの落ち着いた、少し不機嫌にも見えるものに戻っている。

「聞いてくれますか?」

「ええ、勿論。」

千羅の誘いにリュナはカルサと正反対の即答をした。

「二人でやってろ。酒を取ってくる。」

千羅の手から酒瓶を奪うとカルサは返事も聞かずに賑わいの方へ歩いて行った。

「つれない奴だ。」

カルサの背中を見送りながら不満そうに千羅が呟く。

リュナはそれをくすくすと笑い、千羅は再びリュナに視線を戻して向き合う。

千羅の異変を察知してリュナも彼の方を向いた。

「カルサとは古い馴染みなんです。」

「そうなんですか。」

何も考えずに相づちをうったはいいが、リュナは少し気になった。

それにしては今までカルサから千羅の話は聞いたことがない。