つまり、勢いで飛び出したがカルサが一人じゃないことに気付き止めようとしたのに目があってしまったので引っ込みがつかなくなった。

ということだったようだ。

しかも特に用事はない。

「構いませんよ。こちらも大した話はしていない。」

なあ、という千羅の呼びかけにカルサは短く肯定の同意をした。

「カルサと話がしたかったんですね。」

千羅の言葉に目を見開き、顔を真っ赤にして声をつまらせた。

そして恥ずかしそうに前髪を触りながら、はい、と頷く。

それにはカルサもどう対応していいのか分からずに頭を抱えた。

「勘弁してくれ。」

消えそうなカルサの声に千羅は楽しそうに笑う。

項垂れるカルサを余所に、手摺りから身体を浮かしてリュナに手を差し出した。

「初めまして、地神・千羅です。どうぞ宜しく、風神。」

「リュナ・ウィルサと申します。こちらこそ宜しくお願いします。」

差し出された手に自分の手を重ねてリュナは握手に答える。