しかし大多数の者が形に構わず命を狙われていた。

強大な力をもつ故かの追われ狙われる日々、そんな生活に疲れて抜け出し総本山に住む者も少なくはないと聞いている。

御劔たちがいつでも帰れるように、居場所を与える意味での総本山という彼らの企みは良い方向に向かっているのだろう。

皆が楽しそうに笑っているのだ。

「やあ、君が雷神だね?会えて嬉しいよ。」

「初めまして、風神。」

リュナに話しかける者、カルサに話しかける者、二人は同じ場所に居ながらも会話をするのは困難だった。

余所行きの顔は作り慣れている。

カルサは愛想を振りまいて適当に会話を済ませ周りの興奮が冷めるのを待つ。

やがて落ち着いた頃に沙更陣がカルサに近寄ってきた。

手にはグラスを二つ。

「カルサ。さっき庭に行ったのか?」

グラスを差出しながら問いかける、カルサはそれを受け取り、はい、と頷いた。

ふと辺りを見回してみると守麗王の横にはジンロが位置して警護している。