「守麗王様や皆が待ってる。」

珍しく彼女に圧されたままカルサは腕を引っ張られ、そのまま部屋の外に出た。

まだ頭が回っていないのか、楽しそうに笑うリュナの背中を引っ張られて追うだけだ。

「どんなお料理が出るんでしょうね。楽しみです。私、甘い物が好きなんですけど陛下は…。」

駆け足に近い速さでカルサを引っ張るリュナは、振り返って彼の姿を見た瞬間に言葉をつまらせた。

しまったという表情で口を隠す、そんなリュナの様子に調子を崩していたカルサは冷静さを取り戻した。

そしてため息をひとつこぼす。

「言葉遣い。」

カルサの呆れた声にリュナは照れ笑いをして頭を掻いた。

「そうね、ごめんなさい。」

違和感を覚えながらも口にした言葉、向き合うリュナの目を見てカルサは気が付いた。

この会話が計算され作られたものだとリュナの態度で分かる。

わざと言わせたこの会話に彼女の優しさを感じずにはいられなかった。

リュナなりの気配りになんとも情けなくなる自分を奮い立たせる。