リュナはカルサの肩に手をあて、目を合わせてくれない彼の頭を見つめた。

「シードゥルサが心配?」

その言葉にカルサは目を見開く。

反射的に顔を上げると心配そうに見つめてくるリュナと目が合った。

「何で…。」

カルサの驚いた声にリュナは微笑む。

揺れるカルサの目には寂しげに笑うリュナの顔が映り、肩に置かれていた彼女の手がカルサの頭を撫でて髪を指に絡めた。

まるで母親にあやしてもらっているような、そんな優しく温かい空気に包まれる。

「私のこと、何も知らないって思ってるでしょ。」

その質問に目を見開いたカルサはまた何も答えられなかった。

言葉を無くすなんて思い出せる限りでは数える程でしか体験したことがない。

信じられないが確かに何も思い付かないし、とりあえずの声も出てこないのだ。

それは図星だと言っているようなものだった。

リュナは微笑み、固まったままのカルサの手を取る。

「行きましょ!」

「えっ?」