リュナは落ち着きを取り戻し、改めてカルサの様子を伺った。

見えるのは彼の頭の上だけ、表情は全く見えないが彼もまた落ち着きを取り戻そうとしているようだ。

様子がおかしい、そんな事は分かっている。

総本山に来てから、来る前からもどこかおかしかった。

「カルサ?」

躊躇いながらもゆっくりと頭を撫でながら声をかける。

しかしカルサは何も答えず、ただリュナを抱きしめていた。

目を閉じてリュナの体温と鼓動を感じる。

何もかも忘れられる、そんな瞬間を求めているのかもしれない。

甘えられているのが分かり、愛しさと同時に切なさが込み上げてきた。

リュナは屈み、カルサの背中にキスをする。

その刺激に反応したのかカルサは身体を起こした。

「…悪い。」

相変わらず顔を合わせはしないが、リュナが少し覗きこむことでカルサの表情を見ることができた。

少し無気力な、虚ろげな目をしている。