急に笑ったカルサに首を傾げたが、彼ははぐらかすだけで答えようとはしなかった。

いつもならリュナはそうかと納得して去っていく。

今回もそうだろうと、適当な言葉を渡して退室してもらおうとカルサは作り笑顔を見せた。

「セレモニーってどんなのだろうな。せめてそれなりの髪型に…。」

「でも泣いているわ。」

カルサの言葉を遮ってリュナは言いきった。

彼女の言葉にカルサは怪訝な顔をする。

「泣いてる?誰が。」

「此処じゃなかったら。」

自分の目に潤いを帯びた記憶はない。

そして彼女の言葉の意味が分からずカルサは目を凝らした。

「私が来なかったら、今いる場所が誰も知らないような所だったら…泣いていたでしょう?」

リュナの表情が切なさを帯びていく。

「今…そんな顔をしてるから。」

カルサの目は大きく開き、言われたことの衝撃の強さを自分の中で処理しようとした。

何も言わないことが肯定の印なのだろうとリュナは黙って彼を見つめる。