ラファルも傍に付くがカルサは何も言葉を発しない。

ただ窓の外を眺めていた、その目に映る景色なんて何でも良かった。

自分を意識の中に閉じ込める。

無気力、そんな言葉が今のカルサには合うのかもしれない。

シンとした静寂が余計に彼を殻の中へと押し込んでいくような気がした。

耳が痛くなるような静けさ。

やがてそんなカルサを引き戻すかのように、扉を叩く音が聞こえた。

気配で分かる、リュナだ。

「どうぞ。」

声をいつもの様に戻して招き入れた。

何でもないフリ、そんなのはいつもの事だ。慣れきっている。

「カルサ、守麗王様が歓迎のセレモニーを開いてくださるんですって。」

ドアを開けてそう言いながらゆっくりと中に入ってくる。

いつもと変わらない光景、しかし今のカルサには少し懐かしささえ感じた。

リュナがそこに立って話している、ただそれだけなのにと自虐的に笑う。

「どうかしたの？」

「いや。何でもない。」