彼の口振りからすると該当しそうな人物は二人、それは安易に分かることだったから。

誰が行っているかなんて千羅には関係の無い話だし、カルサも興味はないだろう。

「そうですか。」

適当な言葉で終わらせる。

そんな二人の会話も知らぬ顔でカルサは前を歩き続けた。

「どこに行くんですかね。」

「多分、あそこだろうな。」

ジンロは行き先に一つの可能性をあげて呟いた。

もちろん千羅がその声を聞き逃す訳もない。

「心当たりでも?」

「ああ、しかし…。」

ジンロは言葉を濁した。

行き先に見当が付いても理由が分からない。それに行きたがるとも思えなかった。

先行くカルサを見ても彼は前だけを見て進んでいるだけ。

暫く歩き続けカルサは立ち止まった。

そこはまさにジンロが予想した場所、森の中なのにそこだけは木がなく開けている。

花畑が広がるこの空間の地面にはいくつもの石板が埋められているようだ。