千羅とジンロは目を合わせ、不思議そうに後に続く。

カルサの傍らにいるラファルは常にカルサに付いていった。

奥へ、奥へ。果てしなく広い庭から入った森は少しずつ深くなってきたようだ。

「ここは国自体が宮殿みたいなもんですね。まあ民は居ませんけど。」

「ああ。ここには俺たち御劔関係者と特殊能力者と呼ばれている者たちしかいない。」

「人が?あまり人の気配はしませんでしたが。」

「外はな。」

ジンロの答えに千羅は納得した。

「では、宮殿内に人はいると。」

「御劔だけだ。それ以外は少し奥の居住区にいる。セレモニーで会うだろ。」

つまりはここで一つの国が出来つつあるということだ。

力のある者だけが集まる国、さすがは御劔の総本山というだけはある。

「それは初めて知りました。」

「だろうな。世界中には力を持ったが為に居場所を無くした者も多い。そういう者たちの居場所を作りたいんだそうだ。」

それは誰が、という質問はあえて口にはしなかった。