挑発的な態度に一言文句を呟くと、千羅から顔を背けて歩き始めた。

千羅は後ろから吐き出すように投げかける。

「久々の守麗王との会話はどうでした?」

千羅の言葉にカルサは足を止め、勢いよく顔を向けると怒りを露にして彼を睨んだ。

「からかうな、千羅!」

強い怒りが見える瞳、しかし千羅はあっさり受け流して近付いていく。

「お子様。もっと余裕を持てよ。何の為に俺がいるんだ?」

叱るような口調で諭されカルサは言葉をつまらせ、そして顔を背けて目を泳がせた。

カルサの頭の中はぐるぐると色んな事が巡っている。

ここではシードゥルサ国王カルサ・トルナスは存在しない。

自分でそう決めて納得してリュナにまで強制させたのに、まるで自分を失ったような気分になる。

その事で戸惑いがあるのだろうか。

雷神としてでは盾が足りない。

ここで虚勢を張っても意味がないことは分かっているのだ。

観念したようにカルサは複雑な表情で呟いた。

「ここは好きじゃない。」