「…成程。」

千羅は少し目を細め、その場から姿を消した。

「やれやれ。」

ジンロはまたもや取り残され、無気力な瞳で風に舞う葉を追った。

そしてカルサが消えた方向を見つめる。

彼の姿はもう見えないが、今でもそこにいるような気持ちで彼の名を呟いた。

そして小さくため息をつき、後を追うように歩き始める。

「だ、そうですよ。皇子。」

千羅はカルサと並んで歩き、さっそく伝言と共に先程の一部始終を報告をした。

カルサは関心がないのか、適当な相づちをうつ。

千羅はそんな彼に制裁を入れるため、後ろから頭に軽いゲンコツをいれた。

「って!」

「もっと興味を持ってくれませんかね?話甲斐がまるでないのですが。」

千羅はふてくされた顔でカルサに詰め寄った。

珍しすぎる千羅の態度に言葉を失って驚き瞬きを重ねる。

「余裕ってものは無いんですか?キオさん。」

「…鬱陶しい。」