気に入らないといった表情でカルサは鋭い視線をジンロに向けた。

「その名を呼ぶな。」

その瞳はとても冷たい。

「そこまで嫌わなくてもいいだろう?」

「ならない方がおかしい。」

分かるだろう、そんな思いを込めてカルサはさらに睨み付けて歩き出した。

ラファルもそれに続いてしまい、その場に取り残されたジンロは浅いため息を吐いた。

そして、彼の名を呼ぶ。

「千羅。」

呼ばれた千羅は、直ぐ様ジンロの横に現れた。

音をたてず空気のように姿を見せるのは変わらないが、カルサの時とは違い立ったまま何用か尋ねる。

「何でしょう?」

声も顔も暖かみがまるでない。

あまりの態度にジンロは悲しみのため息をついた。

「お前も冷たいな。」

「その理由はご存知でしょうに。」

千羅は何くわぬ顔でさらりと返す。

どこかで見たような態度にジンロはまたため息をつきそうになった。