荷物をソファに放り投げてそのまま進み、窓辺に立つ。

勿論、シードゥルサのカルサの私室に比べたら狭い部屋だが何の文句もなかった。

ここに長居するつもりもない。

まるで逃げ道を確保するようにバルコニーに繋がる窓を開けて外に出た。

眼下はきれいに整備された庭が広がっている。

噴水がいくつもあって、どこにいても水の音が心地好く響く、そんな造りになっているようだ。

手すりに身体を預けてそれらを眺めていると、ふと隣の窓が開く音がした。

「うわ…すごい。」

感動の声と共にリュナがバルコニーに姿を現した。

そしてすぐにカルサの存在に気付き、頬を赤らめて彼の名を呼ぶ。

「カルサ。」

「気に入ったか？」

カルサは頬杖をついて口の端を上げながら問いかけた。

呆れるというよりは、微笑ましく見守っているような感じだ。

それ位にリュナの目はキラキラとして輝いている。

「ええ。凄く！」