『人の言葉を信じない、信じた者を欺く者。こちら側に来るといい』

少女の声が広間に響く。
逃げ惑う人々。
"手"は適当に三人掴むと、その闇の中へ引きずり込んでいった。

「早くしないと……!」

焦ったグランド公が、二人に向かって剣を振り下ろす。
それをキースがすかさず弾き返した。

「彼等に罪はありません。あるとしたら……」

キースは彼の背後に目を向け、静かに告げる。

「グランド公、貴方様ですよ」

「なっ……」

気付いた時には遅かった。

グランド公の身体に、何本もの"手"が絡み付いている。
振り払おうとしても、それは彼の四肢を捕らえて離さない。