イヴが口を開こうとした瞬間、耐えられなくなった窓硝子がとうとう砕け散った。
咄嗟にキースが二人を庇う。

粉々に砕けた破片が辺りに飛び散る。

「なっ……」

キースの影からその光景を二人は見た。
黒いモノが、部屋を侵食していく。

そこから伸びた黒い数多の"手"が、広間にいる人間を見極めるように動いている。

『今宵は四人』

楽しそうに笑う少女の声。
ロイは、その声を確かに聞いた。

楽しそうに笑う少女の声の中に、一種の狂気を感じる。
ロイの背筋が凍った。
身体が固まり、その場から動くことが出来ない。