彼女は泣きそうな顔で、ロイに抱き着いた。
驚いたように一歩下がったが、彼はしっかりとイヴを受け止めた。

「大丈夫だった?怪我はない?」

「ロイ……わたし……」

ロイの温もりに包まれて安心したのか、イヴの目から大粒の涙が溢れ出てくる。
彼女はロイの胸に顔を埋め、ざめざめと泣いた。

「遅くなってごめんね。怖い思いさせちゃって……」

「ううん。いいの……ありがとう」

「イヴ……」

「でもね、まだ終わっていないの」

気丈にも涙を拭い、顔を上げる。
塞き止めるものが無くなったせいか、彼女の涙は止まらない。

そんな彼女を優しそうに見ていたロイの顔が、一気に険しくなった。