『集まった負の感情は、やがて巨大な餌になる。そうね……今日は四人ほど貰おうかな』

「餌?四人?」

『こちら側に来たくないのなら、気を明るく持つことだよ。ハロウィンなんだから、楽しく過ごしましょう』

「……」

『それと、わたし達の言葉、ちゃんと届けてね……?』

少女はもう一度笑うと、イヴの耳から消えていった。
徐々に彼女の耳に音が戻ってくる。

「イヴ!」

ロイの呼ぶ声が聞こえる。
彼女は目を開けた。

「待って!今ほどくから!!」

すぐ側で、ロイの声が聞こえる。
イヴの左手首に冷たいものがあてがわれたと思うと、手首を締め付けていた力が緩くなった。
そうして、彼女の身体が解放されていく。
最後に右手の縄を切り、イヴを十字架の台から下ろした。